【検証してみました】第2弾~おひさまエコキュートは本当に効率がいいの? 前編

 1.おひさまエコキュートとは?

ダイキン工業とパナソニックより、新製品「おひさまエコキュート」が発売されました。
エコキュートは、エアコンにも使われている「ヒートポンプ技術」を活用し、空気の熱を使って、少ない電気でお湯を沸かす電気給湯機です。
これまでの夜型エコキュートが夜間の電気を利用してお湯を沸かすのに対して、おひさまエコキュートは太陽光で発電した電気を利用して、主に昼間に沸き上げを行います。

通常の夜型エコキュートに比べて、おひさまエコキュートはまだ馴染みのない新製品で、現時点すでに導入された方も少ないでしょう。通常の夜型エコキュートに比べて本当に効率いいのか?と疑問に思うかもしれません。
この疑問を解決するために、「検証してみました」シリーズの第2弾と第3弾では前後編に分けて、第1弾で登場した太陽光発電システムを導入した3邸で運転時間の違いによるエコキュートの効率を、消費電力量と自家消費率の面で検証してみました。
 

2.実験方法

3邸に導入されたのは通常の夜型エコキュートですので、2022年1月~6月の各月を半月毎に夜稼働と昼稼働に切り替えて計測してみました。
エコキュートの夜稼働とは、朝7時に沸き上がる通常設定です。昼稼働とは、午後15時に沸き上がりに変更したものです。
計測は第1弾と同じ、発電量・売電量・自家消費量が確認できるeconowaアプリを使いました。
 

3. 昼・夜稼働時の消費電力量の検証結果

それでは、昼稼働と夜稼働それぞれの消費電力量の比較を見ていきましょう。


3邸とも、夜稼働より昼稼働のほうが消費電力量は小さくなっていることがわかります。

これは、下記2つの要因が考えられます。

①外気温度は昼>夜なので、外気温度が高い昼間にお湯を沸かしたほうが、消費電力量が少ない。

②昼稼働のほうが沸き上がりからお湯を使うまでの時間が短いので、放熱ロスが小さい。
夜にお湯を使ってお風呂に入るご家庭が多いですが、夜稼働の場合は、朝7時に沸かしたお湯を夜の使用時間までタンクに貯めておく必要があります。これに対して、昼稼働の場合では15時に沸き上がりますので、夜のお風呂タイムまでの時間が短く、放熱ロスが少なくなります。
 

4. 沸き上げ時間の検証結果

3邸で時刻別に太陽光の発電量とエコキュートの消費電力量のグラフを重ねてみました。





東面・西面にほぼ均等に太陽光を設置されているM邸では、15時に沸き上げ完了に設定した場合、太陽光の発電量(実線)のグラフの中に、エコキュートの消費電力量(点線)がすっぽり入っており、太陽光発電でエコキュートの消費電力量をほぼ全てまかなえているのが分かります。南面・東面設置のA邸は13時ごろ沸き上げ完了が最適と思われます。

K邸もM邸と同じ、15時沸き上げ設定がおすすめですが、太陽光の容量が1.48kWで小さいため、太陽光の発電量でエコキュートすべての消費電力はまかなえません。
このように、ご自宅の使用量が太陽光発電の発電量を上まわる場合、電力会社からの電気を使用することになります。電気のご使用状況、ご契約中の電気料金プランなど総合的に考えた上で、おひさまエコキュートを検討してみましょう。
 

5.まとめ

今回は、まだ導入実績の少ないおひさまエコキュートへの疑問を解決するために、消費電力量の面からエコキュートの昼稼働と夜稼働の効率を比べてみました。

消費電力量から見ると、昼稼働のほうが効率いいと言えるでしょう。
また、屋根の向き、太陽光の発電量によって、最適な沸き上げ時間は異なりますので、導入時にお宅に合った設定にすることが大切です。

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